消防設備における配線点検の要領・基準と必要性について解説

消防設備はいつどんな時に火災が発生しても確実にその機能を発揮できなければなりません。
そのため、消防設備の器具・機器はもちろん、消防設備で重要な役割を持つ配線についても定期的な配線点検が必要になります。

ここでは消防設備の配線点検の点検要領について解説します。

消防設備の配線点検の要点

専用回路

1.「自火報専用」や「誘導灯専用」など、消防設備等の専用である旨の表示があり、その表示が汚れていたり、不鮮明な部分がないか目視で確認する。

2.消防設備への配線の途中で配線を分岐されていないか開閉器の操作や目視で確認する

開閉器及び遮断器

1.開閉器、遮断器に破損・過熱・変色がないか確認する

2.接続部が確実に接続されているかドライバーや目視で確認する

ヒューズ類

1.ヒューズ類に溶断・損傷等がなく、回路図等に示された種類・容量のものが使用されているか確認する

2.電気設備に関する技術基準の解釈「第37条」に基づいてヒューズ容量が取り付けられているか関係図書等・目視にて確認する

絶縁抵抗

絶縁抵抗の配線点検は以下の手順で確認します。

1.測定電路の電源を遮断し、検電器等で充電がないことを確認してから絶縁抵抗の確認をする

2.交流600V以下の低圧電路では、開閉器または遮断器の分岐回路ごとに大地間・配線相互間の絶縁抵抗値を100V、125V、250Vまたは500Vの絶縁抵抗計を用いて測定する。

3.600V～7000Vの高圧電路の場合、電源回路相互と電源回路と大地の間の絶縁抵抗を1000V、2000Vまたは5000Vの絶縁抵抗計を用いて測定する。

耐熱保護

1.電気回路は耐火配線であり、露出配線の場合はケーブルに損傷がなく、金属管等で埋没されている場合は埋没部分が脱落して露出していないか確認する。

2.電源回路以外は耐火配線または耐熱配線の保護部分に損傷等がないことを確認する。

一定条件以上の消防設備の配線点検は消防設備点検資格者が行う

延べ面積1000㎡以上の特定防火対象物や延べ面積1000㎡以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定する建物は有資格者による点検の実施が義務付けられています。

有資格者とは消防設備士または消防設備点検資格者で、社内に有資格者がいれば自社で点検・報告をすることができますが、有資格者がいない場合は外部の点検業者に依頼する必要があります。

日常の維持管理も重要

消防設備には消火栓、自動火災報知設備、誘導灯などさまざまな設備がありますが、いつ、火災が発生しても機能が正常に作動するように定期的な点検を行わなければなりません。

特に配線は消防設備を作動させるための重要な役割を担っていますので、配線点検はしっかりと行うことはもちろん、日常の点検も確実に行い、消防設備の維持管理に努めることが大切です。